偽造された判決文により凍結解除された銀行口座から現金が引き出された事件。京都家裁書記官が偽造有印私文書行使容疑で逮捕された。[関連情報]
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事件の経緯
| 2008年9月〜10月 | さいたま地裁熊谷支部をはじめ、全国数カ所の裁判所に京都地裁判決を装った判決文が送られる。一部の地裁はこれを受けて金融機関と手続きを進め、偽造判決文にある原告側が口座残高の差し押さえができる状態に。さいたま地裁熊谷支部も口座の凍結を解除。 口座名義人の債権者を装った振り込み依頼書が郵送され、口座から約400万円が容疑者の管理する口座に送金された。 振り込め詐欺の被害者が「振り込め詐欺被害者救済法」に基づき、該当口座の残金の返還を申請、被害者が、口座の凍結解除を命じたさいたま地裁熊谷支部に問い合わせ、熊谷支部が京都地裁に確認し、判決文が偽造と判明。さいたま地裁が埼玉県警に虚偽有印公文書行使容疑で告発。 |
| 12月7日 | 京都家裁書記官を偽造有印私文書行使容疑で逮捕し、京都家裁などを家宅捜索 |
| 引用:朝日新聞|産経新聞|中日新聞|毎日新聞 | |
- 【衝撃事件の核心】振り込め詐欺被害金“横取り”狙った裁判所書記官 その「ある嗜好」
- 産経新聞(2008年12月21日)
公判関係
起訴状況
第一審 さいたま地裁(田村真裁判長)
| 日 付 | 摘 要 | ||
|---|---|---|---|
| 2009年 | 12月10日 | 初公判 | (冒頭陳述) 被告は罪状認否で「間違いありません」と起訴事実を認める |
| 12月17日 | 第2回公判 | (被告人質問) 元家裁書記官の被告は、自首成立を主張 | |
| 2010年 | 1月28日 | 第3回公判 | (証拠調べ) |
| 2月9日 | 第4回公判 | (被害者らの証人尋問) | |
| 2月25日 | 第5回公判 | (証拠調べ) | |
| 3月16日 | 第6回公判 | (論告求刑、最終弁論) 被告に懲役15年を求刑 | |
| 3月25日 | 第7回公判 | (判決) 被告に懲役11年を言い渡し | |
| 産経新聞|iza|時事通信|朝日新聞 | |||
判決状況
| 審 理 | 検察求刑 | 判 決 | 裁判所 | 判決日 |
|---|---|---|---|---|
| 第一審 | 求刑懲役15年 | 懲役11年 | さいたま地裁 | 2010年3月25日 |
悪用された法制度
「就籍」制度
制度としては、中国残留孤児等について戸籍を作る場合などに利用されている(※この場合は中国残留邦人等の円滑な帰国の促進及び永住帰国後の自立の支援に関する法律で便宜が図られている)。
本件では、記憶喪失を理由とした就籍許可書(審判書)が偽造され、これに基づいた届け出により架空の戸籍が作られたと報道されている。
- 戸籍法(昭和22年法律第224号) - 法律の条文。法なび法令検索
振り込め詐欺被害回復分配金支払法の「公告」
本件では、この公告を使って、偽造した判決文を使った凍結解除手続きをする対象の預金額の多い口座を物色したと報道されている。
- 犯罪利用預金口座等に係る資金による被害回復分配金の支払等に関する法律(平成19年法律第133号) - 法律の条文。法なび法令検索
- 振り込め詐欺救済法に基づく公告 - 預金保険機構
裁判所書記官
裁判官とは、命を受けて法令及び判例の調査その他必要な事項の調査を補助したり、職務を行うについては命令に従う関係である。ただし、裁判官の命令を受けた書類の作成や変更を正当でないと認めるときは自己の意見を書き添えることができる(裁判所法第60条第5項)など、あくまで固有の権限をもった裁判所の機関であり、単なる裁判官の補助者ではないとされている。
裁判所が実施する裁判所事務官採用試験により特別職国家公務員である裁判所事務官として採用された後、裁判所の内部試験・研修を経て裁判所書記官に任命される。通常は2〜3年おきに異動し、地方裁判所から家庭裁判所や民事部から刑事部等の異動もよく行われる。
- 採用試験情報 - 裁判所
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