時効制度の見直し論議

Yahoo!ブックマークに登録 掲示板:投稿数128

2010年4月、人を死亡させた罪の公訴時効を見直す改正刑事訴訟法が成立。殺人など12の罪の時効が撤廃された。[関連情報]

ニュース

※ここより下は、メディア関係者と読者が作るガイドコンテンツです。   表示方法: 標準全部

公訴時効の完成

公訴時効が完成すると免訴になり、検察官の公訴権は消滅する。仮に、起訴したとしても、裁判所は有罪・無罪の判断をせず、免訴判決を下して裁判を打ち切る。よって、公訴時効が完成していないことは、罪の構成要件を満たしていること、刑事責任能力があること、違法性阻却事由が無いことなどと共に刑事上の責任を問う際の重要な要件になる。
※公訴時効が完成公訴権消滅免訴
※刑事責任能力が無い|※違法性阻却事由がある
※罪の構成要件を満たさない|※故意による行為でない(故意犯の場合)
犯罪不成立無罪

公訴時効期間について

2010年4月27日に法案可決、即日公布、即日施行された刑法及び刑事訴訟法の一部を改正する法律(平成22年4月27日法律第26号)によって、人を死亡させた場合の罪の公訴時効期間は変更された。

2010年4月27日以降の事件の公訴時効期間

人を死亡させた場合人を死亡させていない場合
罪 責期 間期 間罪 責
死刑に当たる罪時効廃止25年死刑に当たる罪
無期の懲役、禁錮に当たる罪30年15年無期の懲役、禁錮に当たる罪
長期20年の懲役、禁錮に当たる罪20年10年長期15年以上の懲役、禁錮に当たる罪
長期20年未満の懲役、禁錮に当たる罪10年7年長期15年未満の懲役、禁錮に当たる罪
5年長期10年未満の懲役、禁錮に当たる罪
3年長期5年未満の懲役、禁錮に当たる罪
罰金に当たる罪
1年拘留または科料に当たる罪

2010年4月26日以前の事件の公訴時効期間

  • 改正法(平成22年4月27日法律第26号)の附則には、法施行時、時効未完成の事件に対する改正法適用の規定があるが、違憲の疑いがあるため、改正法施行前(2010年4月26日以前)の公訴時効期間を併記。
2005(平成17)年1月1日以降
2010(平成22)年4月26日以前の事件
2004(平成16)年12月31日以前の事件
罪 責期 間期 間罪 責
死刑に当たる罪25年15年死刑にあたる罪
無期の懲役、禁錮に当たる罪15年10年無期の懲役、禁錮にあたる罪
長期15年以上の懲役、禁錮に当たる罪10年7年長期10年以上の懲役、禁錮にあたる罪
長期15年未満の懲役、禁錮に当たる罪7年
長期10年未満の懲役、禁錮に当たる罪5年5年長期10年未満の懲役、禁錮にあたる罪
長期5年未満の懲役、禁錮
又は罰金に当たる罪
3年3年長期5年未満の懲役、禁錮
又は罰金にあたる罪
拘留または科料に当たる罪1年1年拘留または科料にあたる罪
刑法等の一部を改正する法律(平成16年法律第156号)

公訴時効の目的

公訴時効とは、犯罪後一定期間が経過することにより刑事訴追が許されなくなる制度です。犯罪が終わった時から、死刑にあたる罪については25年、無期懲役や無期禁錮にあたる罪については15年というように、その罪の重さに応じて1年から25年の期間が定められています(刑事訴訟法250条)。

なぜ、このような制度が設けられているかには、様々な考え方がありますが、一定期間起訴されない状況が続いたという事実状態を法的に尊重する趣旨といわれ、また、時の経過により刑罰による応報・威嚇・改善の必要が消失すること、証拠が散逸し、事実の発見が困難になることなどが挙げられます。

法、納得!どっとこむ

公訴時効制度の本質

法の不遡及

刑法や刑事訴訟法など刑罰法規を改正して規定を重くする場合、改正法施行後の事件に対しての適用は問題ないが、基本的に刑罰は、罪を犯した時点の法律に基づいて決められるため、遡及して適用する今回の改正法は、遡及処罰を禁止している憲法に違反している強い疑いがある。

第三十九条 何人も、実行の時に適法であつた行為又は既に無罪とされた行為については、刑事上の責任を問はれない。又、同一の犯罪について、重ねて刑事上の責任を問はれない。

日本国憲法

時効は起算日から進行

時効は、犯罪行為が終った時(起算日)から進行するため、過去の事件には、既に事件日時点の刑事訴訟法の規定が適用されている。故に事件日時点の刑事訴訟法の規定に沿って時効が完成すれば(遡及事項を盛り込んだ改正法施行以降に時効が完成しても)、罪に問えなくなる(刑事責任上は無罪になる)。また、刑法や刑事訴訟法など、現にある法律に新規の条文を追加したり、修正したりして改正する場合、「刑事訴訟法(刑法)の一部を改正する法律」などの新しい法律を作って改正する。
事件日時点の刑事訴訟法によって時効が完成し、刑事上の責任が無くなった者(既に無罪とされた行為)に対して、事件日より後に出来た法を根拠に刑事上の責任を問うことは出来ない。

最高裁で違憲判決が出れば、規定は無効に

既に無罪とされた行為に対して、刑事上の責任を問えば、憲法第39条の規定に触れる。仮に法が施行されても、最高裁で違憲判決が出れば、その法の規定は無効になる。無効になれば、当該部分を削除するために再度法改正をしなければならないが、罪に問われた者は、本来なら時効が完成し、罪に問われることが無かったにも関わらず、違法に拘束されて罪に問われたことになるため、国には、刑事補償、国家賠償責任が発生し、国民による税金から補償金、賠償金が支払われることにもなる(国家賠償の場合、通常、国は過失を認めないが、法の不遡及は刑事法の大原則のため過失は明らか)。

改正法案成立過程

人命を奪う犯罪を対象に見直し
  1. 殺人など最高刑が死刑の犯罪の時効の撤廃
  2. 人命を奪うその他の犯罪の時効の延長(おおよそ2倍)
  3. 新制度の施行時に時効が完成していない場合はさかのぼって適用

見直し論議

『凶悪・重大な犯罪』に対する時効期間の見直しをめぐっては、以下のように、撤廃を推進しようとする意見とさらに慎重に議論すべきであるという意見がある。

世界各国の時効制度

国 名時効期間備 考
アメリカ殺人時効なしその他の罪は州によって異なる
イギリス時効の概念なし
フランス殺人などの重罪10年停止措置あり
ドイツ殺人20年か30年(原則)ナチスによる殺人や動機が悪質な殺人はなし
イタリアその罪の最大の懲役刑に匹敵多重殺人や性犯罪を伴う殺人など、
最高刑で終身刑が科せられる罪の場合には時効なし
毎日新聞 「時効」よ止まれ:殺人と時効 各国制度から

解説

特集

時効停止規定

短期の海外旅行でも公訴時効の進行が停止する要件となる「国外にいる場合」にあたるかが争われた詐欺事件の上告審決定で、最高裁が「一時的な海外渡航でも時効は停止する」との初判断を示した。短期の海外滞在には時効停止規定を適用しないとの解釈が有力な説だった。

意識調査、アンケート

時効に関する刑事訴訟法の規定

刑事訴訟法第250条の規定

2010年4月27日以降

関連トピックス

▲関連情報の先頭へ